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月例レポート

平成20年8月 第8号 (日本語版)

〜金融市場の最近の人事事情について〜

第一部 外資系金融機関におけるリストラの現状

第二部 アジアの金融人材市場の現状

エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ株式会社
代表取締役 小溝 勝信
- 目次 -

  • はじめに

    第一部: 外資系金融機関におけるリストラの現状

    (1) 「リストラ」された人数
    (2) ESPのアサイメント残高

    2.分析
    (1) 「サブプライム問題」の世界の金融市場への影響
    (2) 日本における金融機関(内資、外資)への影響

       01−02年との比較、米国との比較


    分析−4 金融商品別

       M&A


    第二部:アジアの金融人材市場の現状(アジア出張レポート)

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    はじめに

    米国で勃発したサブプライム問題により、この一年余り、世界の金融・資本市場及び経済は大混乱した。この問題は日本の金融人材市場にも甚大な影響を与えている。その深刻度について、当社には金融界やマスコミ各社からたくさんの照会が寄せられている。当社はネットワークを駆使して「外資系金融機関におけるリストラ状況」を調査した。
    一方、世界経済が混乱する中で、アジアの経済及び金融・資本市場の拡大が著しい。当社はコンサルタントを現地に出張させ、金融人材市場の様相を調査した。

    当社は、今年4月、NPO法人「金融人材市場の改革を進める会」を設立した。世界市場の中で日々低下しつつある日本の金融・資本市場の存在感を回復させるためには、日本における金融機関の経営を改革し、金融人材をグローバル化することが喫緊であると考えるからである。このNPO法人の設立に対しては、たくさんの方々から賛同を頂いた。

    今回の「レポート」では、
    第一部で、外資系金融機関におけるリストラの現状
    第二部で、アジアの金融人材市場の現状
    を報告する。

    この「レポート」は、筆者が前職のヘッズジャパンで94 年に執筆を開始して以来、半年毎 に作成してきた「金融人材レポート」の連続版である。
    なお、第一部の作成については、NPO法人「金融人材市場の改革を進める会」から調査・分析での支援を頂きました。

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    第一部 外資系金融機関におけるリストラの現状

    1.調査結果

    「サブプライム問題」により、過去一年、日本の外資系金融機関において下記の「リストラ」が行われたと推定される。

    (1)「リストラ」された人数
    * 総人数は1,109人と推計される。
    これは、当社が推計した外資系金融機関の総従業員数(27,819人)の4.0%に相当する。

    * 母国別での人数
     
    人数
    割合
    米系
    861人
    77.6%
    欧州系等
    248人
    22.4%
    合計
    1109人
    100%
    米国の金融機関の内、サブプライム問題での損害が大きかった投資銀行がリストラの中心である。欧州系では、米系的な経営を行うユニバーサル・バンクでのリストラが多い。

    <図表−1> 外資系金融機関でリストラされた人数

    * 金融ビジネス別での人数
    金融ビジネス
    人数
    割合
    投資銀行ビジネス
    111人
    10%
    不動産関連等
    408人
    36%
    その他債券・株式
    362人
    33%
    資産運用、個人宛てビジネス
    98人
    9%
    その他
    130人
    12%
    合計
    1109人
    100%
    特徴としては、不動産関連とクレジット投資を含む債券・株式部門の比率が高い。

    <図表−2> 金融ビジネス別での人数

    * 年齢、地位別
    今回のリストラは不採算部門を中心に行われたため、リストラされる対象はマネジング・ディレクターからアソシエイトまで広範に亘り、地位や年齢による偏りは見られなかった。

    (定義)
    * このレポートでの「リストラ」とは下記の場合を言う。
    @会社の一方的な意思により、雇用契約を解除する場合
    解雇には懲戒解雇と整理解雇がある。懲戒解雇とは、本人に重大な落ち度がある場合で、整理解雇とは、会社が経営危機に陥った場合や不採算部門を閉鎖する際「配転」が難しい従業員を解雇する場合である。また、期限を定めた雇用契約に対して、会社が契約を延長しない場合もある。
    Aパッケージを提示し「合意」に基づいて雇用契約を解除する場合
    日本での「リストラ」は、多くの場合「解雇(クビ)」ではない。典型的には、(ア)人事部や上司が退職勧奨する従業員に対して、パッケージ(割り増し退職金の支払い、再就職先の紹介等)を提示して、自主的に辞表を提出させる方法と、(イ)会社が人員削減の予定数と有利なパッケージを全従業員に告知して、早期退職者を募集する方法がある。
    Bパッケージを提示せずに、自主的に辞職させる場合
    会社側が、「期待した最低限の貢献をしていない」と評価した従業員に対し、パッケージを提示せずに自主的な辞職を促す場合
    本人が説明に納得して自主的に辞職する場合や、昇格無し、本人の希望しない配転やボーナスの大幅カット等より、本人に自主的な辞職を迫る場合である。この場合、退職のパッケージは提示されない。これは、外資系金融機関では通常に行われる人事である(外資系では、最低限の貢献もせずに高い年収を要求することはフェアでないと考えられている)。また他社からの引き抜きにより転職する場合もある。
    正確には@及びAを「リストラ」と呼ぶが、当社の調査では@及びAとBの区別が付かないので、合算の人数を「リストラ」数とした。しかし、明らかにサブプライム問題によるリストラと無関係であると当社が判断した場合は含まれない。また、今回のリストラではBの比率は大きくないと見られる。

    現在、リストラを不当として訴訟している外資系金融機関の従業員もいる。

    * このレポートの「外資系金融機関の従業員」とは下記の金融人材を言う。
    外国資本が所有する銀行、証券会社、資産運用会社、直系の不動産関連会社(住宅ローン子会社を含む)、ヘッジファンドの運用会社、プライベート・エクイティ等の投資会社などに勤務する人。即ち、投資銀行ビジネス、債券(円債、外債、為替、クレジット投資、不動産の証券化)、株式、プリンシパルまたはファンドでの投資、不動産投融資、伝統的な資産運用、ヘッジファンド運用、アナリスト業などに従事する人である。
    生命保険・損害保険、消費者金融会社、ノンバンク、コンサルティング会社の従業員は含まない。

    * 外資系金融機関に勤務する従業員総数である27,819人は、日本における銀行・証券会社・資産運用会社等の従業員総数である498,856人(保険業や消費者信用会社を除く。06年10月1日時点での「事業所・企業統計調査」)の5.6%である。

    (2)ESPのアサインメント残高

    上記の環境下で、当社が現在、クライアントから委託を受けている採用のアサインメント総件数は34件だが、07年7月末には55件あった。当時、クレジット投資関連のアサインメントは12件で最大の項目であったが、現在2件に減っている。当時はディストレス投資という項目は無かったが、現在では4件抱えている。
    また、現在、日本の大手金融機関からの依頼は急減しており、一部の外資系、日系の中規模の金融機関、ファンドからのアサインメントが主体である。
    外資系金融機関での採用や転職は、通常年末・年始に集中するが、今年の金融人材マーケットがどのようなものになるか懸念される。

    <図表−3> ESPのプロダクツ別アサイメント残高(2008年7月31日現在)
    金融ビジネス
    プロダクト
    投資銀行ビジネス
    5
    14.7
    カバレッジ、証券の引受け、ストラクチャード・ファイナンス
    買収・投資ファンド
    3
    8.8
    バイアウト、プリンシパル・インベストメント、PIPEs
    ハイマージン・ファイナンス
    5
    14.7
    LBOファイナンス、不動産投資及び融資、証券化、特殊なファイナンス
    クレジットもの
    2
    5.9
    CDS、CDO、ローン・トレーディング
    ディストレス投資
    4
    11.8
    市場価格が大幅に下落した資産への投資
    資産運用
    6
    17.6
    ヘッジファンド、投信・投資顧問
    リテールと個人富裕層
    6
    17.6
    個人富裕層宛てビジネス
    その他
    3
    8.8
    アナリスト、コンプライアンス等
    合計
    34
    100.0
     

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    2.分析

    分析−1 外資系金融機関を取り巻く環境

    (1)「サブプライム問題」の世界の金融市場への影響
    米国のサブプライム住宅ローン問題は、その証券化商品の劣化を通じて、世界的に運用資産価格の下落と信用収縮を引き起こした。この嵐は、依然として世界の金融市場で猛威を振るっており、現在、実体経済にまで悪影響を与えている。「予想より悪くなかった」と評価された欧米の大手金融機関の第2四半期の決算や原油価格の反落により、一部に安堵感が芽生えつつあるが、収束しつつあるとはとても言えない。

    現在までの大手の金融機関のサブプライム問題による損失額は、下記の通りである<図表−4>。08年6月末での世界の株式時価総額は52.6兆ドル(5,520兆円。以下同様に約$1=¥105で換算する)で、これは過去最高であった07年10月末対比で17%、金額で939兆円の減少であった。
    一部にサブプライムでの諸問題は出尽くしたとの見方もあるが、まだ大きな問題が残っている。米住宅公社(ファニーメイ、フレディマック)の経営危機である。米国の住宅融資は全体で1,100兆円あるが、これは米国のGDPの73%に相当する。日本の比率は36%だから、これは米国人の「住宅ローン好き」を表している。この住宅融資に対して同住宅公社2社が融資、保有、保証している債権の総額は、500兆円を超えている。この2社は約220兆円の社債を発行しているが、 この社債を世界中の機関投資家が購入している。この社債は実質米国政府が保証しているとみなされているためAAAの格付けを維持しているが、08年3月末で2社の自己資本勘定には約5.5兆円(上記の500兆円の1.1%)しかない。また、債権の質が悪化したため2社の株価は10ドルを大きく下回っており(8月18日現在)、損失が続けば公社自体が消滅することになる。マーケットには「実質、債務超過に陥っている」との観測もある。当然ながら米国政府は救済策を発表したが、成り行きによっては世界の金融市場は再び大混乱に巻き込まれることになる。

    <図表−4> 欧米金融機関のサブプライム関連評価損失


    (2)日本における金融機関(内資、外資)への影響
    * 日本の銀行・証券会社への影響
    サブプライム問題による日本の6大銀行の損失額は、合計で約1兆円であった。これに地域金融機関と証券会社を加えると約2.2兆円にのぼる。この金額は欧米の金融機関と比較して小さいと言われる。しかし、日本の株価の下落率は欧米より大きい<図表−5>。

    <図表−5> 主要国の株価の推移

    当社は「日本の金融・資本市場の国際市場での遅れ」の主因は、「サブプライム問題」ではないと考えている。
    「モノ作り日本」が色あせつつある今日、日本が世界に誇れる数少ない強みは1500兆円にも及ぶ「個人金融資産」である。しかしこの活用が全く上手く行っていない。下記の通り、07年末での日本の個人金融資産の内、現金・預金の比率は50.4%であるが、米国では13.3%に過ぎない<図表−6>。当社の計算では、直近の5年間で、個人金融資産が生み出したネットの金融収支(個人が受け取った配当金と利息から支払い利息を差し引いた金額)をネットの個人金融資産(グロスの個人金融資産から住宅ローン等の負債を差し引いた金額)で割った年平均の利回りは、日本が0.3%であるのに対し、米国は7.3%である。また、上記で計算した年平均の個人の金融収支は、日本の3.3兆円に対し、米国は1.4兆ドル(147兆円)もある。即ち、米国の個人金融収支は日本の約50倍もある。金融収支のGDP比で見ても、日本の金融収支は米国に比較して極端に低い<図表−7>。
    これは、日本の投資家のリスク回避選好、日本の間接金融優位の構造等、日米のさまざまな金融インフラの違いに基づいており、単純に是非を論じられないが、当社は、この差は日本の金融ビジネスの問題を象徴的に表していると考えている。即ち、日本の金融機関が投資家に魅力的な金融商品を提供出来ず、また、適切な投資アドバイスを行っていないことに起因していると考えている。マーケットの一部に、日本の将来を「モノ作りの国」から「金融立国」にすべきとの声があるが、日本の金融ビジネスの実力はそのようなレベルではない。「金融立国」論者は、メガバンクの役員や銀行員が、米国投資銀行の本社経営者やプロにはとても太刀打ち出来ないことを知らない。

    <図表−6> 家計ポートフォリオの日米比較
    <図表−7> 日米家計部門の純金融収支の対名目GDP構成比の推移

    * 外資系金融機関の日本法人への影響
    日本における外資系金融機関の決算が発表された<図表−8>。外資系8社中、4社が赤字または減益である。株式トレーディングでの苦戦、不動産関連資産の圧縮、06年に大量採用したための人件費の高騰等に起因する。但し、外資系金融機関での勤務経験がある人は承知しているが、公表される日本法人の財務諸表は、外資系金融機関の日本法人の実態を表しているわけではない。即ち、外資系金融機関の取引はグローバルに行われるため、取引の一部は海外オフィスでブッキングされる。日本法人の財務諸表は取引の一部を表しているに過ぎない。
    また、当社は、日本における外資系金融機関の経営や活動がスバラシイと高く評価しているわけではない。行き過ぎた短期収益至上主義での経営には問題も多い。

    <図表−8> 主要外資系証券8社の2008年3月期業績
    (単位億円、カッコ内は前期比増減率%、▲は減少または赤字、−は比較できず)

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    分析−2 過去のリストラや米国の状況との比較

    * 01−02年との比較
    今回の米国の金融リストラは「01−02年のITバブルの崩壊時より厳しい」と言われるが、日本では「当時ほど悪くない」というのが実感である。当時、日本の金融機関は不良債権問題の渦中にあり、外資系金融機関も新しいビジネスの方向が見えなかった。プライベート・エクイティやヘッジファンドはまだ勃興期にあり、日本企業の財務状態は改善途中で、選択と集中戦略による大型のM&Aも少なかった。従って、当時のリストラは金融ビジネス全般に行なわれたが、今回の日本では不動産やクレジット関連が中心である。

    * 米国との比較
    米国の証券業の従業員数は約90万人(日本は11万人)で、内、ニューヨーク州での勤務者は21万人である。その20%、約4万人がレイオフされたといわれる。一方、上記の通り、日本での外資系の銀行、証券会社、資産運用会社等での従業員総数27,819人の内、1,109人、即ち4%が「リストラ」されている。米国では、日本と比較にならないほど大掛かりなリストラが行われている。

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    分析−3 金融機関の母国別

    @ 米系の投資銀行の日本法人で最も厳しいリストラが進んでいる。これは、米国の資本主義が最も収益の行方に敏感であることを表している。人材需要は一般には景気の「遅行指標」であるが、米国のトップクラスの投資銀行では「先行指標」である。予想収益が悪化すると、米系は即座に「リストラ」を始める。そして景気が底を打ったと見ると、突然「採用」を再開する。米系ではこのように動きが早いため、リストラの最中でも採用していることがある。筆者はこれを何度も目撃した。外資系の日本法人では、 環境の悪さを理由に、サブプライム問題での損失が大きくなくともリストラが行われ、日本法人が損失を生み出したわけではないのに、応分のリストラが求められる。グローバル・ファームの宿命でもある。また、大きな損失を蒙った米系金融機関は増資で対応しているが、見返りに経営陣が交代させられる。トップの交代により、必然的に下部組織でのヘッドの交代やリストラが起こる。
    また、リストラはこれで打ち止めになったわけではない。年内に「もう一段の人員削減が行われる」との観測も多い。

    ベアスターンズのように消滅した金融機関もあるが、全ての米系投資銀行が人員削減しているわけではない。「リストラで優良なプロがアベイラブルになっている」として、採用している米系金融機関がある。また、日本進出で出遅れている部門で人材を採用しているところもある。
    A 欧州系ユニバーサル・バンクは二極化している。米国的経営を行う金融機関は@に準じている。サブプライム住宅ローンの証券化商品を大量に購入した一部の欧州系ユニバーサル・バンクは巨額の損失を蒙り、リストラに止まらず、投資銀行部門の売却や大規模な縮小が噂されている。その日本法人も大きな影響を受けている。
    反対に、サブプライム問題の影響を直接受けていない保守的な欧州系ユニバーサル・バンクが人材を採用している。理由は、米系との差を少しでも縮めるため優良な人材を確保しようとしていること、ユーロ高により日本への投資が割安になっていること(これは戦略的とは言えない)等である。

    B ほとんどの日本のメガバンクや大手の証券会社では、リストラ(肩叩き)は行われていない。「配転」で対応している。しかし、この数年外部採用に積極的であった日本の証券会社が、有期雇用していた大量の金融プロとの契約延長を認めず、マーケットに放出した。銀行不良債権問題の際、多くの邦銀は生え抜き行員を守るため外部採用の職員を大量に追い出したが、今回も同じことをした。「人に優しい日本の金融機関」という触れ込みがウソであることが、再び明らかになった。また、外国資本に買収されていた中規模の銀行でもリストラが行われている(今回の分析の対象ではない)。
    日本の大手の金融機関は、関連証券会社も含めてアジア市場で拡大しており、経験を持つアジア人を積極的に採用している。

    C アジア経済(日本を除く)はさまざまな問題を抱えながらも拡大を続けており、特に香港、シンガポール、上海の拡大が目立つ。またインドも注目されている。欧米の金融機関の現地法人では人材需要も旺盛で、リストラは聞かれない。先日当社は、コンサルタントをアジアに出張させ現地の事情を調査した。その様相は第二部で報告する。

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    分析−4 金融商品別

    概観
    日本での「リストラ」は不動産関連とクレジット投資で一番厳しい。米国のサブプライム住宅ローンの証券化商品(RMBS)や不動産のノンリコース・ローンの証券化商品(CMBS)、さらにそれらを再び証券化したABSの不振は、日本の機関投資家にもクレジット投資全般に打撃を与え、この関連の人材ニーズは霧散した。特に不動産関連(不動産宛て投融資やその証券化)で大掛かりなリストラが行われた。そして、これらのビジネスが所属するグローバル・マーケッツ本部(債券、クレジットもの、株式)が責任を取らされ、JGBや為替のセールスも影響を受けた。投資銀行本部では、株価低迷による機関投資家の投資意欲の減退を受けて、カバレッジや資本市場ビジネスでリストラが行われている。M&Aが対象から外れているのは、日本ではM&Aは今後も拡大すると考えられているからである。しかし、近年のM&AはファンドとLBOファイナンスとの三点セットで行われることが多かったが、世界的な信用収縮によりこのモデルは縮小している。従ってLBOファイナンスではリストラが起こっている。資産運用本部も、機関投資家が運用体力や投資意欲を失っていることにより、サブプライム問題と無縁ではない。ここでは大掛かりなリストラはないが、個別に処理され採用はフリーズされている。個人宛て投資信託の営業や商品企画の人材ニーズは強く、有能なディストリビューター宛てマーケターが求められている。ヘッジファンドは海外市場での資金調達の難しさから全体として苦戦しており、人材需要は限られている。資金が集まらないとして解散する運用会社もある。

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    3.金融商品別の事情

    (1) 投資銀行ビジネス
    * 金融環境の悪化を反映して、カバレッジと債券の引受け(DCM)で一部の欧米系がリストラしている。一方で、人材が抜けた重要なポジションでは穴埋めのための採用も行われている。ハイブリッド証券(負債と資本の両方の特性を持つ証券、無議決権証券、返済期限の無い負債等)やメザニン融資(返済が劣後する貸し付け)等のストラクチャード・ファイナンスでは、会社法の改正、TOBからの防衛、株式の希薄化防止等でこの種のファイナンスに企業ニーズがあり、一部の投資銀行が人材を採用している。

    * M&A
    グローバル・ベースでのM&Aの実績は、今年1−6月で1.84兆ドル(193兆円)だが、これは前年同期の2.69兆ドル(282兆円)から大きく減少している。日本でのM&Aも全体としては減少している<図表−9>が、日本市場では引き続きM&Aは拡大するとの見方から、環境が悪いにも関わらず外資系金融機関での目立ったリストラは見られない。また、08年は日本企業による外国企業のM&A(IN−OUT)が増加傾向にあり、前半では金額ベースで前年同期比2倍以上になっている。特に薬品や資源関連で数千億円の大型案件が目立つ。しかし、海外企業の買収については、日本企業の経営者はグローバル・スタンダードによる経営が出来ていないので上手く行かないとの評価も多い。

    <図表−9> 日本のM&A件数と金額

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    (2) 投資ファンド
    M&Aの主体は、この数年、企業よりファンド(ファイナンシャル・バイヤー)であった。しかし現在ファンドの投資家は極めて慎重である。実績のあるファンドでも資金調達は容易ではないようだ。従って、ファンドによるM&Aは前年比減少しており、人材需要も小さい<図表−10>。しかし、もともと投資ファンドの運営会社には従業員も少なく、目立ったリストラは無い。また、全ての投資ファンドが不振というわけではなく、順調に投資している外資系ファンドもある。特に、中・小型の投資に特化しているファンドでは検討案件も多く、若手のスタッフに対する人材需要はある。

    <図表−10> 日本企業に対するファンドによるM&A

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    (3) LBOファイナンス
    LBOファイナンスは昨年中旬までは活況で、人材需要が最も強い分野の一つであった。M&A、ファンド、LBOファイナンスの三位一体で進められていた。しかし、世界的な信用収縮の影響を受けて外資系レンダーが融資に慎重になったため、このモデルは頓挫している。従って、一部の外資系金融機関のLBOファイナンスではリストラが行われている。しかし、既存のレンダーが慎重になっているため貸出しのスプレッドが拡大しており、逆に、融資を活発化している後発の金融機関や新興のファンドもある。そこでは人材需要もある。

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    (4) プリンシパル投資
    金融商品の付加価値が全般的に低下して、顧客宛てビジネスでの収益が低下している中で、この数年、自己資金を投入してゲインを得るプリンシパル投資が拡大していた。対象は、銀行融資、社債、プライベート・エクイティへのマイノリティ投資、PIPES、上場・非上場株、不動産関連、LBOファイナンス、エマージングもの等、短期的にゲインを期待出来る資産である。しかし、投資銀行自身の資金調達が困難な環境下では撤退せざるを得ず、リストラが行われている。現在このビジネスは、リスクの高いディストレス投資にシフトしている。

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    (5) 不動産ビジネス
    * 不動産投資
    少なくとも数ヶ月前までは、日本の不動産は欧州の物件に比較して割安と言われていた。即ち、日本の不動産投資でのキャップ・レートは4%台に回復しており、無リスク資産に対して2%程度のスプレッドがあった。そのため採算がとれるとして、欧州系銀行、保険会社や新興のファンドが日本の不動産投資に進出し、人材を求めていた。しかし不動産市況の悪化に伴い都心でも不動産価格が下落しつつあり、一時の勢いは無くなった。特に、日本資本の不動産私募ファンドが苦戦しており、経営危機に陥っているところもある。ファイナンスが付かないためである。黒字倒産する会社もある。不動産ファイナンスで先行する外資系金融機関が全くローンを出さないし、日本の金融機関も金融庁のウォッチを受けて慎重になっているからである。
    しかし、不動産投資が全く行われず、これらの不動産宛て投・融資での人材需要が全くないわけではない。一部の大手の不動産投資会社や不動産ファンドは親密な大手銀行から融資を得て投資している。また、日本の不動産マーケットへの後発組では人材需要もある。

    * 不動産ファイナンスとその証券化
    日本の不動産投資の状況は上記の通りだが、不動産のノンリコース・ローンはより深刻な状況にある。1−6月のCMBSの発行額は前年同期比5割減で、約2,500億円に落ち込んだ。REITの価格も低迷している。先発の大手外資系投資銀行では新規の取り組みが許されず、CMBS部門を大幅にリストラした。また、外資系金融機関の住宅ローン事業でも、グローバルな戦線縮小の方針に沿って、日本から撤退したところがある。
    LBOファイナンスと同様に、今秋、ノンリコース・ローンのリファイナンスが可能となるか、マーケットは注視している。
    下記の通り、最近、不動産のディストレス投資やメザニン融資のための人材需要が出てきた。これは悪化する不動産市況で「投売り」が始まるとの予想に基づく。ここでの人材需要はある。但し、本当に不動産の大規模な投売りが始まるかは分からない。リファイナンスの結果次第である。

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    (6) クレジット投資
    * ABS投資
    サブプライム問題の直撃を受けて、証券化に組み込まれた債権がデフォルトを起こしたり、保証会社の格付けが下がったり、大きなレバレッジを掛けたCDOの時価が急落したり、資産の時価評価が出来なかったり、売却損を出したりして、これらの資産に投資した金融機関やファンドのバランス・シートが大きく毀損した。従って、世界のCDOの発行額は下記の通り激減している<図表−11>。日本でも証券化商品の発行は低迷している<図表−12>。

    <図表−11> 世界のCDOの発行額(四半期)
    <図表−12> 日本での証券化商品の発行金額の推移

    クレジット・マーケットの大混乱の中で、大手銀行、地銀、信託銀行、年金基金、個人顧客は、いずれもこの種の金融資産の購入を控えている。従って、クレジット投資の人材がリストラのターゲットとなっている。

    * ディストレス投資
    上記のような混乱の中で、世界市場で新しいビジネスが勃興しつつある。即ち、社債、ファンド、さまざまなファイナンス、証券化商品、不動産、REIT、株式等で、時価が急落した資産を買ってゲインを得るディストレス投資である。カルパースも本格的に投資を始めるとのこと。これは、数年前まであった日本の銀行不良債権ビジネスの再来で、今回は、さまざまな資産が対象である。このため日本でも、外資系投資銀行、巨大な海外ファンド、一部の日本の金融機関が体制を整備し人材を求めている。しかし日本では「掛け声」だけに終わる可能性がある。即ち、以前の日本での不良債権は銀行融資の毀損であったが、現在、多くの日本企業の財務状態は健全でデフォルトに陥る危険性は小さい。あるとすれば不動産関連であろう。また、ビジネスのフォーカスは、日本市場からのディストレス資産のソーシングというより、海外ディストレス資産の機関投資家への販売となるであろう。この人材需要は拡大すると考えられる。

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    (7) ヘッジファンド
    世界市場でのヘッジファンドは、07年前半までは好調なパフォーマンスであったが、後半から苦戦している。HFRIファンド総合指数でも月別でのばらつきが目立つ<図表−13>。
    日本の資産に投資するヘッジファンドの6月末での運用残高は07年末から1割減少し、2.3兆円であった。これは3年ぶりの低水準である<図表−14>。
    従って、日本株対象のヘッジファンドのファンドマネージャーへの需要は聞かれない。一方、一部のファンド・オブ・ファンズのパフォーマンスは堅調で、人材採用しているところもある。

    <図表−13> HFRIファンド総合指数 
    <図表−14> 日本対象のヘッジファンドの運用資産残高

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    (8) コモディティ
    原油を中心としてコモディティ価格が高騰しているが、人材需要が大きいわけではない。もともとトレーディングは海外でのポジションで、日本人は対象でない。日本での日本人に対する人材需要は、マーケターやプロダクト担当(投資信託への組み入れ)に対するものである。しかし、コモディティの経験者は限られており、数少ない経験者がたらいまわしにされている。

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    (9) 個人金融資産宛てビジネス
    1−6月の公募株式投信の純資金流入額は1兆8,300億円で、前年同期比8割以上も減少した<図表−15>。しかし投信の販売会社宛て担当者に対する優秀な人材は引き続き求められている。また、個人富裕層宛てビジネス(プライベート・バンキング)は拡大中で、既存先はスタッフを増員しており、外資系金融機関による新規参入もある。個人富裕層は引き続き預・貯金からリスクマネーへシフトしている。これら日本の個人金融資産に係るビジネスは中・長期的に拡大すると考えられているので、人材ニーズは底堅い。
    但し、サブプライム問題で本社が大打撃を受けた金融機関は、グローバルなリストラ方針に従って、日本でも個人宛てビジネスのスタッフがリストラされている。

    <図表−15> 公募投信の資金流出入額

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    4.求められる人材像

    景気下降局面では、国債や格付けの高い債券等への買い替えによる「質への逃避」が起こる。人材市場でも同じで、不況下では「質への回帰」が起こる。即ち、バブル状況では誰でも売れるし、儲かる。しかし不況下では売れないので「強い営業」と「弱い営業」の違いが明らかになる。金融資産の価格が下落している現在、「どのようにして儲けるか」でプロとしての真価が問われる。

    上記の環境下で、採用側は「良質」の金融人材を求めている。応募者は採用の面接で厳しくスクリーニングされている。求められる金融人材象は下記の通りである。

    @ 専門性と普遍性を兼ね備える人
    プロの金融人材が専門性を持たなければならないのは当然だが、「市場が求める」専門性は変化する。歴史的にも、為替、債券、デリバティブ、不良債権、不動産、M&A、プライベート・エクイティ、ヘッジファンドへと変化してきた。従って金融ビジネスで生き残るためには、この変化に対応出来なければならない。「良質」な金融人材とは「専門性」と「普遍性」を兼ね備えている人である。
    A 企業価値、事業価値、資産価値とは何かを真摯に追究する人
    「売れるから売る」のではなく、真のバンカーとして、企業・事業・資産の価値とは何かを追究しなければならない。
    B グローバル・マーケットで通用する人
    「金融はグローバル・ビジネスである」と認識し、グローバルに通用するプロに成長するよう自己研鑽しなければならない。
    C 社内・顧客とのコミュニケーション能力のある人
    顧客のニーズは急激に変化し、多様化する。社内組織も複雑化している。内外でのコミュニケーション能力を養わなければならない。
    D 強い倫理観を持つ人
    「不確実性」の金融ビジネスにおいて、強い倫理感を保持しなければならない。

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    第二部 アジアの金融人材市場の現状 (アジア出張レポート)
    コンサルティング部 ディレクター
    山 崎   正


    さる6月25日から7月5日までアジアの経済環境、金融市場動向、ヘッジファンド調査という名目で、シンガポール、香港、上海を訪問した。その際に小生自身が感じた現況及び将来性、発展性、さらに日本の金融機関のアジア市場における存在感等を報道されたニュースも絡めて報告したいと思う。また、まだ訪問した経験の無い方々或いはかつて訪問した事はあるが訪問から10年以上経過している方々にも理解していただく為、各地の概略にも触れようと思う。

    シンガポール
    まず最初に訪問したのは、シンガポールである。シンガポールの人口は2007年6月現在で458万8600人、その後も増加している。中国系76%、マレー系13.7%、インド系8.4%からなる複合民族国家のため、公用語は英語、中国語(北京語)、マレー語、タミール語となっており、地下鉄の駅名を示す看板には英語、中国語、マレー語が表記され、駅名そのものにもそれぞれの言語が使われている(タンジョン・パガー駅はマレー語、ドービー・ゴート駅はタミール語、マンモキオ駅は中国語など)。シンガポールの主要産業は、貿易業、金融業、工業で、特に海運コンテナ取扱量は世界第一位である。法人税率は2008年に18%に引き下げられ、住民税はない。日本人は現在約3万人在住している。
    シンガポールの表玄関はチャンギ国際空港で、そこから中心地であるシティ・ホールまでは地下鉄(MRT)を利用し30分程度で到着し、しかも安い(S$1.5=120円)ので、大変便利である。タクシーでもS$15‐20(=1,200‐1,600円)程度であり、日本の成田空港の不便さが浮き彫りになり国際ビジネス上、特にスピード感が重要な国際金融において弊害が出ないか心配になる。
    シンガポール中心部をエリア別に分類すると、近代シンガポール発祥の地でヨーロッパの面影が一番残り、また若者や観光客で賑わうシンガポール有数のショッピング・センターであるラッフルズ・シティや有名なラッフルズ・ホテル、サンテック・シティ・モール、マーライオン・パークがあるシティ・ホール周辺、現在の金融街であるシェントン・ウェイ、一昔前のシンガポールを感じさせるチャイナタウン、シンガポール川沿いに沢山のレストラン、バーなどが並ぶクラーク・キー周辺、ホテルやショッピング・センターが立ち並ぶオーチャード・ロード、イスラムの匂いが漂うブギズ&アラブ・ストリート、インド系住民が行き来し、店舗も殆どインド系が経営する飲食店、絨毯や絹の店、小物屋などが並ぶリトル・インディアなどに分けられる。上記のように、スーツ組、若者・観光客、多民族の地元住民がそれぞれのエリアで行動している感覚で、MRTで数分でも町の環境はガラッと変わる。小生の宿泊したスイソテル・スタンフォードのあるシティ・ホールエリアは若者・観光客で深夜までごった返している。小生は昨年ニューヨーク、ロンドンにも出張したが、自らの肌感覚でその都市の雰囲気を感じるため、移動する際は努めて歩き、若しくは地下鉄を利用して来た。今回の訪問も努めて足で歩き町の雰囲気を確かめたが、シンガポールは道路や地下鉄が整備され近代的な町の中にも緑が多く、買い物も便利で非常に暮らしやすい環境にあった。確かに各エリアでの生活水準の違いは感じられたが住宅地もきちんと整備されていた。地元マレー系、インド系住民にも貧しさは感じられなかった。但し、売春地区であるゲイランと呼ばれる地区は昔の中国を思わせるネオンが主要道路沿いのあちこちにあり、格安の中華料理屋が軒を連ね、行き交う人々は低所得者層と思われる人々が大半であった。しかし、熱気は物凄く生活感が漂っていた。
    さてシンガポールの金融街であるが、以前サンテック・シティ・モールを中心としたシティ・ホールエリアが中心であったが、近年はシンガポール川を隔てたラッフルズ・プレイス(MRTで隣の駅)周辺及びシェントン・ウェイ沿いに有力金融機関が移転している。リー・クワンユー初代首相による金融立国推進により急激に海外有力金融機関、ヘッジファンド等が進出し、不動産の供給が間に合わず不動産価格が上昇、4年で2倍に高騰した。
    訪問したクライアント担当者によればNYオフィスよりもかなり高いとの事であった。それでも、引き続き周辺で再開発などが行われ、多くのクレーンが見受けられた。オフィス街は洗練され高層ビルが立ち並んでいる。一方、そこから少し裏手に入るとホーカーズ(所謂屋台村)や寺院などがあり、近代都市とアジア文化が融合している。
    ビジネス街では現地人の他に、インド系、マレー系も多いが欧米系や日本人にも多く遭遇した。シンガポールは大変暑いのでビジネスでも殆ど上着は着用せず、ネクタイも付けない。上着を着てネクタイを付けているのは日本人か韓国人ビジネスマンだけとの事で、小生も直ぐに日本人である事がばれてしまった。

    現地で働く日系金融機関の従業員はメガバンク各行で400−600人おり、日本人スタッフはそのうち15−16%である。証券会社も大手2社で合計500人弱、そのうち1割程度の日本人が働いている。メガバンクはシンガポールを始め東南アジアに進出している日系企業現地法人とのCFがメインだが非日系企業への営業も強化する方向のようである。金融を除く産業界のアジアでの売上高はアジア危機前(1997年度)に比べほぼ倍の水準に高まっているのに比べ、メガバンクのアジアでの融資残高は危機前のピークを更新していないのでメガバンク各行は今後更にシンガポールでも積極的な融資を行う事が予想される。
    大手証券会社はシンガポールを拠点とし、投資銀行ビジネスを特にシンガポール、インド、タイなどで強化する動きがあり、特にインド企業によるM&Aやシンガポール市場へのIPOを強化しようとしている。従って、現地事情に詳しく人脈を持つ現地のプロを積極的に採用している。
    野村證券はシンガポールで7月初めアジア・エクイティ・フォーラムを開催したが、出席した投資家は昨年の150社から200社に増え、アジアマーケットに対する期待の大きさが感じられた。サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱、商品市況高騰によるインフレ懸念により、これまで急拡大したアジア株式市場も中国は年初来約50%、インドも30%強下落し、新聞紙上や様々な雑誌でアジア失速とかオリンピック後の中国の景気後退などが叫ばれているが、同社はアジアの株式市場及び不動産市場の長期的な発展に変化はなく引き続きシンガポール支店を拡大するとの方針を述べている。小生もこのアジア金融市場の発展に変化はないという点で賛成である。中国、インドを筆頭にアジア各国は今後さらにインフラ投資を活発化させるだろうし、何より人口に占める若者の数が圧倒的に多く、内需拡大、個人消費が大幅に伸びるはずである。シンガポールでは少子化が問題となり政府も対策を講じているが、日本の場合の将来を危惧した結果としての少子化とシンガポールの女性も男性のように生き生きと働いている結果としての少子化は意味合いが違うと思われる。若者は非常に元気で、何か颯爽と歩いている姿を見ると将来に対する自信のようなものを感じた。また、現地小中学生の眼鏡姿の多さに教育水準の高さが感じられ、何より英語と北京語を話せる点は、グローバル化した金融ビジネスにおいて大いに優位性を発揮するであろうと思われる。シンガポールでは、二言語主義が取り入れられ、日本人学校でさえ小学校1年生から週5時限の英会話が授業に盛り込まれ、国家の明確なポリシーとしての第二母国語習得が行われている。日本では漸く小学校5年生から週1時限の授業が盛り込まれる事となったが果たしてこのような中途半端な政策で良いのだろうか。日本は語学教育の点で早く手を打たないと本当にアジアの中のローカルな国になってしまう可能性が高く政府にもっと危機意識を持ってもらいたいものである。

    さて話は逸れたが、日本の金融機関については、今後更にシンガポールを含めたアジア各国で業容、人員の拡大が予想されるが、アジアの金融機関は欧米金融機関がモデルでありグローバル・スタンダードが常識になっている。となると人材採用における報酬についてもグローバル・スタンダードでなければ競争力がない事になり、優秀な人材を採用する事は難しいと思われる。
    また、もし競争力のある報酬で採用できたとしても日本から派遣された本社スタッフと現地採用のスタッフの間に報酬面で大きな隔たりがあると、なかなか纏まりが付き辛いのではないかとも感じる。将来的には日系金融機関も本社も含めてグローバル・スタンダードな報酬体系に変えざるを得なくなるのではないか。そうでなければ日系金融機関は益々ローカル化していくような気がする。シンガポールでは既に外資系投資銀行やグローバルヘッジファンドを志向する人材が圧倒的に増えていて、実際に某日系証券では採用に苦労していた。
    外資系投資銀行やユニバーサル・バンクの陣容は調査出来ていないが、かなりの外資系金融機関が富裕層向けプライベートバンクビジネスを強化、収益を拡大させているようだ。日本人富裕層向けに外資系金融機関各社が日本デスクを設け、各社10人前後の日本人プライベートバンカーが活躍しているとの事である。新聞報道によれば、シンガポール通貨庁(MAS)が纏めた2007年末時点での同国の資産運用残高は前年比32%増の1兆1730億シンガポールドル(約93兆円)で、7年連続の2桁増との事である。また運用資金がどこから来たかを地域別にみると、アジア大洋州が全体の44%、欧州が25%と米国以外の地域の富裕層の資産がシンガポールに流れ込んでいる。また運用先もアジア大洋州が57%と過半数を占め、米国はわずか3%であった。ヘッジファンドの数は2007年末で前年度比5割増の約300に上っている。ヘッジファンドのシンガポール拠点での位置付けは、アクセスの良さという利点を活かしたインド、タイ、ベトナム、中東、オーストラリアなどをターゲットとしたエクイティ、不動産投資である。和製ヘッジファンドはまだ運用残高1000億円未満のファンドが多く、税制面からシンガポールに拠点を移し或いはリサーチャーのみ日本に残しトレードのエグゼキューション、オペレーションをシンガポールで行っている。但し、サブプライム問題に起因する信用収縮により投資家も損失を蒙っており、以前のようには資金が集まっていないようである。不動産価格高騰によるオフィス賃料の値上げで昨年秋以降厳しい運営が続いているとの事である。とは言え、税制面、規制緩和などにより運用に関する利便性を増す方策を施さない限り海外勢の投資を促すどころか、益々日本の優秀なファンドマネージャーが国外脱出し、日本の資本が海外に流出するのではないかと思われる。

    以上シンガポールについて報告したが、小生の印象は金融マーケットの拠点として規模はまだ小さいものの地理的優位(インド、タイ、オーストラリア、中東など)、政府のマネーセンターとしての金融の位置付け、外国人の住み易い環境など今後さらに発展する可能性が高いと考える。特にインドビジネスに対する積極姿勢が伺える。因みにカリスマ投資家ジム・ロジャース氏も家族と共にシンガポールに移住した。


    香港
    3泊4日のシンガポールでの日程を終え、小生は香港に向かった。香港の人口は2007年6月現在692万1700人(前年同期比 0.9%増加)、大半が中国人(漢民族)で公用語は英語と中国語(広東語)である。香港は長くイギリス植民地であった割には庶民で英語を使える人が少ない。タクシーの運転手も殆ど英語が通じない。但し、外国人観光客相手のレストランやブティック、ホテルの従業員は別であり、収入面でも貧富の差が激しい。香港の主要産業は金融とサービス、貿易業で、貿易業はシンガポールに次いで世界第2位である。法人税率は一律17.5%とやはり極端に低い。また在住する日本人は2万7千人と意外に少ない。製造業に従事する日本人は世界の工場である中国本土にいるようである。
    香港の表玄関は香港国際空港で、香港島ではなくランタオ島にある。空港から香港市内までは約35kmありタクシーで約40分、HK$340(=4,800円)程掛かる。エアポートエクスプレスで約25分、料金はHK$100(=1,400円)である。
    小生は、夜到着したので空港から市内までタクシーで移動したが、兎に角高層ビルの多さに驚いた。特に夜だったのでその夜景が途切れる事なく続いており、成田から都心に移動する際の森林や田園風景と比べると大きな違いである。
    香港の中心部をエリア別に分類すると、20世紀の初めまで商業の中心地として栄え現在は中国伝統物産や卸問屋が軒を連ね、多くの坂道がありその途中には露天商が所狭しと屋台を出している上環(ションワン)。香港経済の中心で世界中の主要な金融機関が拠点を構え高層ビルが立ち並ぶ(香港上海銀行ビルや88階、高さ420mを誇るTwo IFCビルなどがある)一方、主要道路を奥に入ると超安売りの屋台やバーが集合した蘭桂坊(ランカイフォン)などがある中環(セントラル)。かつての歓楽街で赤や紫のネオンが輝くワンジャイ、香港島随一の商業地区でタイムズ・スクエアをはじめ数々のショッピング・センター、ブティック、レストランが林立するトンローワン。ビクトリア湾を隔てた九龍地区にあり買い物の街、商業の街であらゆる種類の店がひしめくチムシャツォイ。香港一の人口密度を誇り日本で言えば渋谷のように若者が集まり、至る所に赤や紫の大きな看板が立ち並ぶまさに中国を感じさせる旺角(ウォンコッ)などに分けられる。特に同じように若者が集まるが洗練されたトンローワンと、まさに昔の香港そのものの様相を呈する旺角(ウォンコッ)は好対照であった。
    小生が訪問した時期は晴れた日には青空が広がるが、冬場は風向きの影響で中国本土の光化学スモッグにより青空を見る事は出来ないそうである。健康に気を使い、また少しでも気温の涼しい環境を求める現地に住む欧米人や香港の有名人、芸能人は皆高台の高級マンション、住宅に住んでいるようだ。冬場はわずか900mしか離れていないビクトリア湾対岸の九龍地区は、靄が掛かっているように殆ど見えないらしい。香港島は海岸線沿いにしか地下鉄が通っていない事もあり、人口がその地域に密集し、また観光客もこの周辺を訪れる事から兎に角上記エリアはやたら人が多い。そこには様々な生活水準の人々が混在している。
    さて、香港の金融街は、中環(セントラル)及び隣の駅である金鐘(アドミラルティ)に集中している。特にウォーターフロントに建設されたTwo IFCビルには日系・外資系の主要金融機関が拠点を構えている。隣接地にはOne IFCビル、フォーシーズンズホテルが繋がっていて、低層階は巨大なショッピング・センターとなっており世界各地のブランドショップや有名レストランが入っている。また、IFCが完成する以前に最大の一大複合ビルであったパシフィックプレイスにも日系・外資系金融機関、ヘッジファンドなどが拠点を構えており、多くの欧米人や日本人を見掛ける。シンガポール同様、不動産価格は4年で2倍に高騰しているが香港島、九龍両サイドのウォーターフロントでは引き続き再開発が行われており、かつては2.1kmあった対岸との距離は現在900mしかないそうである。某日系証券会社の転勤者は社費で現在家賃80万円のマンションに住んでいて、本社の同僚から羨ましがられているそうであるが実はそれほど広い訳ではないとの事である。
    また、香港ではシンガポールに比べ上着を着ている外国人が多く、シンガポールより多くの欧米人がいる印象を持った。

    現地で働く日系金融機関の従業員はメガバンクで500-600人おり、日本人スタッフも多いとの事である(RMやストラクチャード・ファイナンス、シンジケートローン、外国為替など)。現地日系企業取引が中心との事である。投資銀行ビジネスでは香港市場への中国企業によるIPO案件や中国企業によるM&A、プライベート・エクイティ投資が中心であるが、IPO案件は米系投資銀行、欧州系ユニバーサル・バンクが主幹事を取り合い、セカンドティアーとして日本勢ではかろうじて大手2社がサブで入っている程度との事である。最近の香港でのIPOビジネスでは大和証券SMBCが野村證券をリードしているようだ。サブプライム問題による株価下落で今年に入りせいぜい17-8件しかIPOがなく、外資系も含めた香港でのビジネスは低調のようであるが、日本と違って案件のパイプラインは見えており株価が回復すれば中国企業による資金調達需要は再び高まると言う見方をしていた。また、中国企業はあくまで最終的な目標はニューヨーク市場での上場であり、まず最初のステップとして香港市場での上場を目指しているとの事であった。残念ながら、東京株式市場への上場の話は全く聞かれなかった。

    某外資系投資銀行香港支店にいる人物によればサブプライム問題の影響から今後数年間、欧米でのビジネスは低調との予想から今後さらに発展が予想される中国市場にフォーカスすべく各社エース級のバンカーを香港に投入する動きがあるとの事である。また別の某外資系投資銀行のグローバルミーティングが香港で行われた際、日本の今年のビジネスプランに関する持分が割愛され香港拠点に回されたそうである。さて、香港での投資ビジネスに関しては某日系証券がアジア圏での投資ビジネスチームを立ち上げ、今後このビジネスをさらに強化する方針のようである。アドバンテッジパートナーズも香港に拠点を設け、アジアでのPE投資を始めると聞いている。
    ヘッジファンドに関しては、グローバルファンド大手は全て香港に拠点を構えているとの事であるが、日本人はあまりいないようである。香港に拠点を構え、日本にもオフィスを構えるヘッジファンドはそこそこあるらしいが、所謂マルチストラテジーでPIPES投資も行うヘッジファンドはオクジフ、シタデル、TPGアクソン、エボリューションズなど7,8社しかなく、総じて日本へ積極的に投資するスタンスを持つファンドはあまりないとの印象を持った。いずれにしても今後日系、外資系共にアジアでのビジネス拡大を目指し資金的、人的資本をさらに投入する様子が伺える。

    以上香港について報告したが、小生の印象は香港島ならびに対岸の九龍地区も人で溢れ返り、ビジネス街や若者が集まる旺角(ウォンコッ)、トンローワンなどは活気に満ちており引き続き景気は良い印象を持った。また、2003年中国政府の政策により本土市民による香港旅行が解禁されたせいもあって観光業やサービス業は好調である。裏を返せば本土市民の購買力が上がっている事を意味し景気は拡大基調を続けているようだ。税率の低さ、整ったインフラ、中国本土企業の旺盛な資金調達需要に支えられ今後も発展が予想される。


    上海
    その後、小生は上海に向かった。小生は上海の情報は全く持ち合わせていなかった事もあり、某日系証券会社上海駐在員事務所長様のご好意の下、現地の雰囲気や習慣、生活、文化などについて触れさせて頂いた。降り立った国際空港は極めて立派で洗練されていた。香港国際空港よりきれいだった。そこから宿泊したシェラトン上海まで社用車で移動したが高速道路も整備されていた。ホテルも大変豪華で1泊19,000円とは思えない洗練されていた。ただやはり水道水は衛生上の問題があるのか、うがい用のミネラルウォーターが置いてあったぐらいである。また外に出ると兎に角暑い。夜8時を過ぎても気温35℃はある。日中は40℃に達し、湿度は90%以上との事である。
    翌日は上海のビジネス街や観光スポット、若者が賑わう目抜き通り、さらには現地住民用のスーパーなどを見学した。浦東新区にあるビジネス街では高さ341m、地上88階建ての金茂ビルに登り上海市街を一望した。隣にそびえる新森ビルは高さ492m、地上101階建てであり、日系金融機関の多くは現在のビルから移転するとの事であるがそのスケール、スタイリッシュな概観は驚くばかりである。一方川を渡ると外灘(バンド)と言われるかつての金融街には外資系銀行や商社の歴史ある建造物がそのままの形で佇んでおり、川の対岸にある超近代化した高層ビル街とは対比している。観光客向けに「観光隊道」というタイムマシンのような乗り物が浦東地区から外灘まで通っており、それに乗ると一気に近代的な街並みからまさにタイムスリップしたかのように歴史ある建造物の立ち並ぶ世界に導かれ、とても興味深いものであった。
    小生が上海を訪問したのは平日だったが、目抜き通りを歩く若者の多さには驚いた。同行して頂いた方によれば、休日はその数倍の人の賑わいだそうである。また、各観光スポットには非常に多くの欧米の外国人が訪れていた。
    逆に地元住民用のスーパーを覗くと、生きた食用蛙やザリガニ、ウナギなど日本のスーパーではおよそお目に掛かれないものが所狭しと並んでいて女性観光客にはやや刺激的かもしれない。やはり衛生上新鮮なものを好んで購入するようである。近代的な顔とは裏腹に一般庶民の食生活については昔の日本を思わせる。貧富の差が激しい証であろうか。

    さて、中国金融業界については前出の日系証券上海事務所長様からお話を伺った。同氏によれば、中国国内の準大手証券会社でさえ経常利益1000億円規模に成長しており、日本での販路構築のため日系証券会社買収を良く打診されるとの事である。某日系証券会社が中国の証券会社との合弁を試みたが、急激に規模が拡大したため主導権を握れなくなり破談になったケースもあると言う。中国の証券会社ではプロの採用を積極化しているらしく、グローバル・スタンダードな報酬を払っているとの事であり、また外資系金融機関のビジネスモデルを導入している。日系金融機関は米国のコピーに過ぎないと全く評価されていないとの事である。同時にお話を伺った若手アナリスト達も将来のキャリア構築について、職責の範囲を限定されてしまい報酬も安い日系金融機関は対象外だと言っていた。MBAを取得し帰国後外資系金融機関若しくは地元証券会社にプロとしてチャレンジしたいとの事であった。彼らは一流国立大学卒のエリートであったが、相対的に日本の学生に比べ大変勤勉であり考え方もしっかりしている。彼らの両親は皆、父親・母親ともに職業を持っており女性が結婚後も仕事を続ける事を当たり前のように考えており、かなり欧米に近い。グローバルな視点を持っているのはそういった環境、教育によるところも大きいのではないか。この点でも日本人の考え方は古いと思える。

    以上、上海について報告したが、小生の印象は街自体が躍動していると感じた。街を見渡すと建設ラッシュであちこちにクレーンが見え、インフラ整備も急ピッチで進められている。小生の宿泊したホテルの近くには、1年前のガイドブックには影も形もなかった地下鉄が開通していた。ビル建設、高速道路建設もそのスピードが極めて速いとの事である。また、再開発の地域で現在工事が始まっているエリアは2010年開催予定の上海万博会場地区らしく、多くの近代的ビルや施設が建設される予定のようで、さらに近代的都市に変貌していくであろう。上海市だけでもとてつもなく広く、同じ建設ラッシュでもシンガポール、香港とはスケールの違いを感じる。
    規模やスピードのダイナミズム、豊富な人材、世界一の外貨準備など中国経済の発展は確実であり、中国金融市場や中国金融機関もさらに国際的影響力を高めていくと感じた。また、一方日系金融機関は早くグローバル・スタンダードへの脱却を遂げないと中国金融市場での影響力が益々失われていくように思われる。ブランド力も落ちる。従って、採用面においても現地での運営においても思い切った改革が必要だと感じる。


    最後に
    今回の各地訪問で感じた事は、税制や言語面、地理的な優位性を持つシンガポール、中国と言う巨大なマーケット(国内需要)を持つ香港・上海に比べ、日本は少子高齢化、内需の限界などマーケットとしての魅力は感じられず、やはり中国やインドといった巨大マーケットにどれだけ食い込んでいけるかが鍵となり、特に金融は如何に優秀な人材を現地で集める事が出来るかが勝負となるのではないだろうか。また語学力というハンディを早く克服すべくシンガポール並みの語学教育(英語、北京語)を早い段階から導入すべきであると強く感じた。

    最後に、今回の各地訪問の際お世話になった方々に心から感謝申し上げます。特に上海でお世話になった駐在員事務所長様には深謝いたします。

    筆者のプロフィール:
    小溝 勝信(こみぞ かつのぶ)
    1968年東京大学教養学部国際関係論分科を卒業し、住友銀行(現三井住友銀行)に入行、主として国際部門に従事した。1984年に外銀に転じ、 ファースト・シカゴ銀行東京支店の事業法人部長に就任した。人材コンサルティングに転ずるため、1989年米国の大手ファームの一つであるホイットニー・グループ日本支社に入社し、副支社長に就任した。1993年、日本型のエグゼクティブ・サーチの創設を目指してヘッズジャパンに転じ、金融部門マネジング・ディレクターに就任した。2004年エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ株式会社を設立した。
    このレポートは、筆者がヘッズジャパンで1994年以来半年毎に報告していた「外資系金融機関の最近の人事事情について」の連続版である。

    エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ株式会社(ESP)のプロフィール:
    小溝勝信が長年の経験と主張の集大成として2004年に設立した。日本の金融人材市場に、初めての、本格的な、日本版の「エグゼクティブ・サーチ・コンサルティング」の創設を志す。
    詳細はホーム・ページ をご参照頂きたい。