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(1)平成22年度版「経済財政白書」は、第一章を「着実に持ち直す日本経済」として、平成22年3月までの一年間の日本経済の「底堅さ」を評価した。しかしその評価に反し、その後勃発したギリシャショックで引き起こされた欧州経済の混乱や、米国で発表された失業率等の一連のデータは、世界経済が「二番底」に陥る可能性を示唆している。そして、これらの対策として各国政府が打ち出した金融緩和策と通貨切り下げ政策は円高を誘発し、結果、日本株が急落した。株価や日本経済の根本的な問題は、最近の白川日銀総裁も認めるように、財政政策や金融政策では解決しない。日銀がいくら銀行に低利の資金を供給しても、過剰な手元流動性を持つ大手企業は設備投資しないし、銀行は、資金繰りに苦慮する中小企業に対する融資を増やさないからだ。
(2)多くの人々が唱えるように、問題解決の糸口を見つけるためには、電機や自動車のような輸出産業に依存した産業構造から脱却し、内需向けや国際競争力を持つ新しい成長産業を育成しなければならない。しかし、この「産業構造の改変」は言うは易く、実現は難しい。経済産業省が6月に発表した「産業構造ビジョン」は「日本経済・産業の行き詰まりは深刻」と評価し、問題点の指摘と打開策を提言している。同「提言」によれば、01年から07年の間に日本の全産業での経常利益は25.2兆円増えたが、その内36%はグローバル製造4業種によるものであると。4業種とは輸送機器、電機、鉄鋼、一般機械であるが、これらの産業が、現在、急激な円高の影響を受けている。一方で、これらのグローバル企業の多くが国内予選で消耗戦を繰り広げている。従って、グローバル戦略が思うように策定出来ておらず、国際競争力を低下させつつある。
日本の金融界でも日本企業の国際競争力の低下を懸念する声が増大しており、「産業再編」の必要性を訴える人も多い。従って今後は、09年から今年前半までに大幅に落ち込んだM&Aの拡大が予想される。実際、特に日本の大手証券会社が「産業再編」を仕掛けることの出来る投資銀行家の採用を検討している。時宜に合った動きだと考えられる。
(3)また、日本企業の活性化のためには、輸出の大半を担う上記産業の大企業だけでなく、特に消費等の内需を対象とするミドル・キャップ企業の活性化が必須である。しかし、この時価総額500億円から5000億円程度の企業に対しては、外資系投資銀行も日本の金融機関も十分な支援が出来ていない。即ち、外資系等投資銀行は、本部から1ディール当たり3億円以上の収益が見込めない案件への取り組みを許されていないため、時価総額が1兆円以上の巨大企業をターゲットとしている。また、メガバンク系証券会社では、多くの経営者が預金集めとローン業務で育っているため、投資銀行業務が分からない。従って、日本の産業のコアを構成するこの層の企業に対して、内外の金融機関とも適切な金融支援が出来ていない。勿論、これまでも、この層に対して関係を強化しようとする試みはあった。外資系ではIPO支援、TOB、ストラクチャード・ファイナンス、フラット為替やスペキュレーションのためのデリバティブ・セールスであったが、長期的な視点からの顧客関係の構築は出来なかった。メガバンク系証券会社もトライしたが、この層の多くの企業が親銀行の融資先であるため、投資銀行業務と利益相反が起こり、融資関係の方が優先された。
以上
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